かつて存在していた未来とは違う『未来』について

今後新聞社が売るのは新聞か?ジャーナリズムか?

 

今年は日経新聞の1,600億円にのぼるフィナンシャルタイム買収、Yahoo!と共同通信の合弁会社設立、2億人のユーザーを抱える米Buzzfeedの日本上陸など、今後の日本のジャーナリズムシーンに影響を与えるニュースが飛び込んできた。

 

未だに新聞社の影響力が残る日本と違い欧米ではネットメディアの成長により業界の地図がここ数年で大きく変わっている。名門新聞社のトップ記者やピューリッツアー賞受賞記者がBuzzfeedなどといった新興ネットメディアに転籍し、名門のニューヨークタイムズも最新技術を駆使したネット記事でピューリッツアー賞を受賞する。

 

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エミー賞受賞ドラマのHouse of cardsでは大手新聞社のトップ記者のゾーイが新興ネットメディアに引き抜かれる様子が描かれる

 

かつて1,000万部を誇った読売新聞がある日本は、700万部以上を発行する朝日新聞も含め、世界でも類まれにみる新聞が発行されている国だ。欧米に比べ、まだまだ新聞の影響力は大きい。

 

これを読む若い人の多くは「みんなニュースはネットで見るよ」と思うだろう。人によっては「マスコミは終わったよ」と思われるかもしれない。だが日本で一番見られるYahoo!ニュースやスマホニュースで急成長したスマートニュース、グノシーであっても、ニュースを作っている大元はほぼ旧来のマスコミである新聞社や雑誌社になる。

 

ただ、欧米と同様、発行部数や接触時間や広告費の減少と日本の新聞社も大きな岐路に立たされている。

 

今回は新聞社はなぜ若者にそっぽを向かれ、影響力を失ってしまったのか?

また、どのように魅力を回復し、また影響力をとり戻せるのか?

という少々壮大なテーマについて書いてみよう。

 

下記に詳細な約100ページのパワーポイントの資料を掲載するが、時間のない人はブログ本文でかいつまんだ記事を読んでほしい。

 

 

 

まずは、国内の新聞をとりまくビジネス環境から見ていこう。

 

国内の新聞の発行部数は年々下がっている。

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接触時間も各世代で大幅に減少。10代では2010年の時点で平均48秒に。

もちろん、時間を奪われているのはネットニュースである。

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接触時間の減少に伴い、広告収入も減少。

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この情報流通の変化を図にまとめると次のようになる。

ネット誕生後、ネットメディアがニュースの生産元であるテレビや新聞社と生活者の間に入り込み、情報流通に介在する企業が増えたのだ。

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その結果、Yahoo!と大手新聞社のサイトのページビュー数には大きな開きができた。ここでは朝日新聞を例に出しているが、読売新聞もほぼ同じ状況である。

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ネット誕生前と誕生後をビジネスモデルとして見るとこうなる。

新たに増えたものはウェブ用の編集(生産・加工)と自社サイトへの掲載と提携サイトへの配信(流通)である。現在の新聞社の行き詰まりは生産・加工と流通がうまくいっていないから考えられる。

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新聞社各社の進めるWEB有料版の販売状況はどうだろう。

ニューヨークタイムズのWEBの発行部数が57%に対して朝日新聞は2%である。

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ただ、デジタル有料版は振るわないが、海外の新聞社と比べ、主要紙の発行部数は格段に多い。

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国内新聞社を取り巻くビジネス環境としては、ウェブ企業に対抗する処置がうまく機能しているというのは難しいが、現状新聞本紙がまだ売れている状況である。ただ、体力が残っている今、WEBでの儲け口を見つけないと待っているのは緩やかな死であることは間違いないだろう。

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では、新聞の魅力と影響力を復活させるにはどうすれば良いのであろうか?

 

課題としては次のものがあると考えられる。

①生産・加工(記事編集)では商品の魅力を感じて貰えてない

②流通(生活者に届けること)でもうまく届けられていない

  →ネット企業に負けている       

 

 

ウェブサイトのアクセス数を増やすには魅力的なコンテンツ作りと効果的な情報発信とユーザーの動きを雪だるま式に増加させることが重要である。

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では生産・加工(記事編集)について話を進めて行こう。

魅力的なコンテンツ作りで有用と考えられるものが、データジャーナリズムである。

 

データジャーナリズムとは

データのビジュアライゼーションに工夫を凝らし、より分かりやすく、より深く、より興味を引かせ、より人の心を動かすジャーナリズム手法のことである。

 

まず紹介したいのが、ビッグデータ解析の天才のネイト・シルバー氏である。彼はニューヨークタイムズ記者時代、2012年の大統領選で唯一全ての州で投票結果の予想を成功させた。

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日本のヤフー2013年の参院選で検索結果から約9割の精度で議席数を予想することを成功させている。

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CNNはアフガン、イラク戦争の戦没者を戦死した場所、日時、状況などが確認でき、その人がどこで生まれ、どのように育ったか確認できるデジタル慰霊碑Home & Awayを公開している。

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災害情報では3.11のGoogleの対応が素晴らしかった。

消息情報をYoutubeや写真共有サービスにアップし、ホンダやパイオニアのカーナビとデータ連携し、交通可能な道路をGoogle Map上にマッピングしていった。

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ニューヨークタイムズは雪崩災害をウェブの最新技術を用いて詳細にまとめたSnowfallというサイトでピューリッツア賞を受賞している。非常に上手く作られたサイトで、直後Snowfallerと言われるフォローワーサイトが世界各国の報道機関によって作られた。

 

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是非PCでご確認頂きたい。

www.nytimes.com

 

NHKは日本版Snowfallerとも言える御嶽山の「噴火の証言」というサイトを制作している。登山者から集めたスマホの動画、写真、証言を場所、時間軸、登山者の行動軸で自由に見ることができる。

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次はオープンジャーナリズムについて説明しよう。

 

オープンジャーナリズムとは、メディア組織に勤務する人員だけでコンテンツを作るのではなく、読者、視聴者、専門家、外部のITエンジニアといった、「他者」を巻き込んでコンテンツを作るジャーナリズムである。

 

英ガーディアンは前向きにオープンジャーナリズムを進めており、一般の読者がニュースを投稿できるGuardianWitnessを開設している。GuardianWitnessでは記事の書き方や写真の撮り方などのレクチャーもある。

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衛星写真を使った人道支援を行うクラウドソーシングサイト「Tomnod」が公開している、マレーシア航空370便の手がかりを探すプロジェクトに48時間で200万人以上が参加し、64万5000個のタグが付けられた。

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マーケティングの大家、フィリップ・コトラー氏はマーケティング3.0の中で「ニーズの複雑化、技術の著しい進化の中においては企業が独自に商品を開発するのではなく生活者や研究者、他企業と「協働」で商品を開発することが企業の発展につながる」としている。

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次は生産・加工(記事編集)の中のUX/UIについて書きたい。

 

UX(ユーザーエクスペリエンス)やUI(ユーザーインターフェース)はIT業界ではよく使われるキーワードで、どんなインターフェースでどんな顧客体験をさせるかということである。

 

カナダの新聞「La Presse」はタブレット版開発に4000万ドルを投資。

閲読の平均時間は平均で平日:35分/日、休日:70分/日と日本の新聞の平均を大幅に上回る。

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National Geographicはタブレット版で動画と写真をシームレスに見せている。ページをめくるたびに自動再生される動画、タブレット用に見せ方を工夫された美しい写真。National Geographicが元々持つコンテンツをタブレット最適化して肌触りの良い美しいプロダクトに仕上げている。ブラックホール特集では表紙のブラックホールのCGが動画になっており、表紙の文字がどんどん吸い込まれ、最後はNational Geographicという文字も吸い込まれる。雑誌を超えたコンテンツを雑誌と同じ金額で販売するのではあれば、買う価値は大いにあるだろう。

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では次は流通について、ソーシャルメディア対応について書きたいと思う。

自分は毎朝、facebookのタイムラインで友人がシェアしたニュースを見た後、キュレーションメディアでニュースをチェックしている。そのようなニュースの読み方をしている人も多いと思うが、そうなると、ニュースサイトによっては3-5割のアクセスがソーシャルメディア経由というものも出てくる。ニュースは検索やブックマークで読む時代ではなくなっているのかもしれない。

 

ソーシャルメディアを利用したニュースでの特徴は、速報性だ。ボストンマラソンの際、大手メディアはツイッターから写真や動画の情報を探し出し、報道した。

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ソーシャルメディアを駆使して大きく成長したのがBuzzfeedである。

現在は2億人のユーザーを抱え、大手メディアから有名記者やピューリッツァー賞受賞記者をヘッドハントし、本格的な記事を展開しはじめている。

日本にもそろそろ上陸するというが大変楽しみである。

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Upworthyは25のタイトルを同時に入稿し、独自のクリック計測システムで自動的によりクリックされ広まりやすい1つに絞るというネット広告のABテストの発想で成長を遂げた。

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2013年に日本に上陸したハフィントンポストは公開された記事はユーザーの反応を見ながら、タイトルを修正したり、ソーシャルメディアへの投稿内容・頻度などを変化させている。

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生産・加工(編集)と流通のまとめとしては、生産・加工(編集)、流通においてもITの強化は必須であり、場合によっては新興メディアやIT企業の参入により新聞社はジャーナリズムの主導権を握られる可能性もあるということであろう。

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次は「ウェブの情報で有料課金は可能か?」ということを成功事例をもとに考えて行こう。

 

大手新聞社の方と話していると自社の商品はほぼマーケティングとは無関係で、今までもこれからも売れ続けるのでは?と思っている人がいるようだ。確かにほぼインフラとして機能・存在してきた過去100年間があり、自社の商品がマーケットにおいてどのようなポジションでどのような価値を生活者に提供できているか?と考える必要性が無かったためとも考えられる。

 

ただ、このことは新聞社に限ったことではなく、インフラやそれに近しい国を代表するような大企業においてはよくあることだ。

 

しかし、現在エネルギーや放送などの分野では規制緩和やネットを始めとしたテクノロジーの進歩によって生活者がその企業の商品を選ぶ必要がなくなる時代が到来している。

 

例えば電力は来年4月から自由化されるし、TV局はhuluやNetflixに居間に置いてある大きなディスプレイ(テレビ)に流すコンテンツというポジションを奪われる可能性がある。

 

インフラやそれに近しい企業  - 生活者が疑問を持たずに当たり前のようにその商品にお金を払ってきた企業 - ほど生活者に向いたマーケティングを行っていない傾向が強い。

 

現在や今後において今までの当たり前が通用しなくなるのであれば、自社の商品がそのマーケットにおいてどのような存在でどのような価値を提供でき、そこからいくらの対価(販売価格)が取れるのかを考える必要があるだろう。

 

そもそも商品の価値とは「ベネフィットの総体」-「ペイン(コスト)の総体」がプラスに転じると顧客価値が発生し購入に至り、マイナスに転じると買う必要のない商品と思われてしまう。

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商品を買われる価値のあるものにするためには、ベネフィットを上げるかペインを下げることが重要である。ベネフィットとペインの調整により成功した企業を見ていこう。

 

ロッテは噛むのが面倒という(!!)若者の為に柔らかいガムを開発。包装紙も取りやすくと、徹底的にペイン(面倒臭さ)を減らした。

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ミツカンは納豆のタレの袋が開けづらく、タレが飛び散り食卓や服を汚すというペインを解消する為に飛び散らないタレの包装方法を開発。朝食時にタレが飛び散り服に着いたという経験は多くの方があるのではないであろうか。

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アメリカの靴のネット通販のザッポスはDelivering Happinessという企業理念を元に徹底的な顧客満足度向上を進めている。サイズや好みの合わない靴の交換は当たり前、クレームや相談に対してもコールセンターは何時間も対応する。自社に無い商品を問合せられたら在庫のある他社のサイトを紹介する。コールセンターの社員には大きな権限を与えられて、例えば夫が亡くなった為に靴のキャンセルした夫人に対してお悔やみの花をコールセンターの社員が贈ったことはソーシャルメディアなどで大きな話題になった。

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紹介した事例にそこまでやるのか?と思う方も多いだろう。

ただ、マーケティング調査、あるいは経営者の信念やセンスによってと違いはあるが、成功する会社はそこまでやっているのである。

 

自分の企業はどこまでやれているのであろうかと、なかなか考えさせられる内容である。

 

では現在成功している国内のウェブ企業はどうだろうか?

ニコニコ動画、クックパッドは月額数百円の課金で数百万の有料ユーザーを抱える。

 

ニコニコ動画は動画上にコメントが付けられ、その動画自体が一つ一つが掲示板のコミュニティ的な役割として機能している。それは時と場所を選ばずに擬似的なお茶の間を(ベネフィット)動画サイト上に展開していることになる。

そのようなベネフィットを提供しつつ、人気動画にアクセスが集中すると画質が落ちたり、見れなくなったりと無料会員のみに発生するペインを意図的に設けている。

有料会員になると人気の生放送が優先的に見れるなど、ユーザーが強く欲するベネフィットを捉え、そこに有料・無料での境目を創ることに非常に長けている。

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またクックパッドの有料会員はレシピを人気順に表示できる。

無料会員には新着順に表示されるので、人気レシピは埋もれてしまい探すのが大変だが、有料会員だとすぐ自分の探す人気レシピに辿り着ける。

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このように、webメディアは基本的に元々が無料のサービスが多いために、敢えて無料会員に◯◯が出来ないというペインを設け有料会員に引き上げている。

 

webの情報は無料という風潮が強い中、これらの企業は大変健闘している。

ではニュースで課金するには何がベネフィットやペインになり得るか?そこを本気で考えていく必要があるだろう。

 

また無料会員→有料会員というアップセル際にグロースハッカーという人たちが活躍する。グロースハッカーはマーケティング発想とwebのシステム(エンジニアリング)への深い理解を掛け合わせ、webサービスを成長させる。

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グロースハッカーは今までの認知〜購入モデルのAMTULのTrail use(試用)とUsage(利用)の段階をAARRRモデルに細分化しアップセルさせる。

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ではグロースハック事例を見てみよう。

 

97年にマイクロソフトに4億ドルで買収されたHotmailはメールのフッター部分に「Hotmailでフリーメールをゲットして」というメッセージを入れるというシンプルな方法で急成長した。これが一番最初のグロースハック事例と言われている。

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Facebookは様々な施策を試した結果、登録から10日以内に7人以上の友達と繋がると継続率が高くなるということを発見し、このことを達成できる施策にフォーカスして実行し、成長を遂げた。

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国内のビジネスニュースのキュレーションアプリであるNewspickはAARRRモデルのReferral(紹介)がうまくいっていないことを発見し、対策を行ったことでユーザー数は大きく伸びた。

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 もし、ネット上の情報を有料で売りたいと考えるのであれば、グロースハッカーを社内で育成するか、ネット企業から優秀な実績を持つグロースハッカーを連れてくる必要はありそうだ。

 

最後に、新聞社はこれからどうならなければいけないのかということについて書きたいと思う。具体的な解決策ではないが、示唆にはなると考えている。

 

まず、誰と戦うべきか?

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目指すべきポジションは?

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Googleなどの巨大IT企業とはどう向き合うか?

IT関連の自動車開発においては、トヨタは独自開発を目指し、ホンダはGoogleと組むことを選んだ。

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セブン&アイ・ホールディングスはAmazonや楽天に対抗する為に1,000億円投資するIT化を急ピッチで進めている。

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何を売るべきか?何者になるべきか?

 

何を売るべきかと考えたときに、自己実現の為にお金を支払わせるということがあるだろう。例えば、ISISやISISに伴う難民などで国際情勢が不安定になったり、安全保障法案が可決されたりと国内の状況も大きく変わっている。答えが見出しづらい問題に直面する機会が増え、このような事態に自分がどう考え、行動すべきか?という自分の考えを深め、自分を高めたいというニーズは大きくなっているだろう。

 

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質の高い解説記事を書くハフィントンポストやTHE NEW CLASSICが成長しているのも社会の問題が複雑化しているからかと考えられ、今後社会の問題が複雑化すればするほど、このニーズは高まるだろう。

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ニューヨークタイムズは「新聞社がネット配信するのではなく、デジタル企業が新聞を出していると思うこと」と完全にデジタル企業に移行することを考えている。

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最後にビジネスとして、マーケティング発想で新聞社を考えてみよう。

セオドア・リビットは「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」と言っているが、ドリルを新聞に置き換えると何になるだろうか?

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長文を最後までお読み頂いたことを感謝したい。

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火垂るの墓の犠牲者について − 海外の人は節子の死をどう捉えるか? −

 

今日は終戦記念日なので、火垂るの墓について書いてみたいと思う。

 

火垂るの墓は、野坂昭如氏の直木賞を受賞した短編小説であるが、今回は1988年にジブリによってアニメ映画化されたものについて書きたいと思う。

 

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その前に火垂るの墓のあらすじをおさらいしよう。

 

1945年(昭和20年)の太平洋戦争の末期の6月、神戸に住む清田(14歳)と節子(4歳)はアメリカ軍の空襲に遭い、降り注ぐ焼夷弾の中、なんとか逃げ延びるが、母と家を失う。

 

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数時間前まで元気だった母親が血まみれの包帯巻きになって出てくるシーンを忘れられない人は多いのでは無いだろうか。

 

西宮に住む親類の家に身を寄せるが、二人を邪魔者扱いする叔母と関係がこじれ、二人は家を出て貯水池のほとりの防空壕で暮らすことになる。

 

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配給が途切れがちになる中、頼れる身内もおらず、近所付き合いがなく、隣組に入らなかった二人は、十分な食料が得られず、節子は衰弱していく。

 

清田は空襲の際に火事場泥棒や深夜の野菜畑で泥棒を行うが節子の衰弱は止まらない。

そのような追い詰められた生活の中でも節子は無邪気さを失わない。

 

畑泥棒で捉えられ、ボコボコに殴られた後、派出所まで清田を追いかけて来た節子が泣きはらした顔で、号泣する清田に「どこ痛いの?いかんねえ。お医者さん呼んで、注射してもらわな」と清田を気遣うシーンは強く心を打つ。

 

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ある日貯水池のほとりで倒れている節子を見て、清田は病院に連れて行く。節子はやせ細り肋骨が浮き出て、身体中に赤い斑点できているが、医者からは「滋養のあるものを食べなさい」と言われるだけで、何の治療も施されない。

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清田は貯金を全て下ろし、食料を買うが、時は既に遅く、節子は死んでしまう。

銀行で日本の敗戦と父の死を知った清田には生きる希望も理由も、何もかも失ってしまった。全てを失った清田も三ノ宮駅で死ぬ。

 

 貯水池の丘の上の屋敷に戦中に禁止されていた洋服をオシャレに着こなした若い女性が疎開地から帰ってくる。蓄音機からは戦前流行っていたイギリス民謡の「Home, Sweet Home」が流れる。

 

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Sweet Homeに帰れた家族と帰れなかった清田と節子。なんとも悲しいコントラストである。

 

曲が掛かっている間、節子が貯水池で一人遊びをするシーンが繰り替えされる。

この愛らしい姿は、この貯水池の防空壕こそ、清田と節子のSweet Homeであったというメッセージだろう。二人に対する高畑監督の愛を感じずにはいられない。

 

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さて、ブログを本題に戻そう。

今回は個人的な体験とウェブ上での反応から「火垂るの墓」について書きたいと思う。

 

 

まず個人的な体験からだが、7−8年前に韓国人の青年と飲んだ時の話である。

その青年はグラフィックデザイナーとして活躍していて、日本の大変有名なアニメで重要かつ印象的なシーンを描いていた。韓国では芸術を専攻していたらしい。

 

共通の友人も自分もアニメが好きだったので、3人で新大久保で韓国料理を食べながら飲むことになった。彼の仕事の話を聞きながら、3人とも好きなアニメの話になり、その中でジブリ作品の中で何が一番好きかという話になった。

 

どの作品も良いので1番か選ぶのが難しいということになったが、自分が「火垂るの墓はジブリの中で一番悲しい作品であり、アニメ史上、節子は一番かわいそうなキャラクターだ」と言った。

 

彼は「火垂るの墓は良い作品だが、納得出来ない」と言った。

 

戦中からの日本と韓国の関係を考えると彼の「納得できない」という複雑な気持ちは理解できる。

 

その時随分酔っ払っていたし、当時、自分がかなり生意気だったこともあり、また彼は良い人そうだし、分かってくれそうだったので、

 

「節子はまだ4歳で、国家とか戦争とか敵とか何も分からないままに死んだし、大人が始めた戦争の責任とかそういうものとは関係なく、ただ、可愛かった節子が死んだことを悲しむという映画っていうことでいいんじゃないかな?」

 

と本音を言ってみた。彼はそのときは何も言わなかったと思う。

 

そのあともアニメの話などで盛り上がり、韓国ビールの hiteとマッコリを呑みまくった。

別れ際に彼から両手で熱烈な握手を求められた。その時の彼の熱い眼差しが忘れられない。

 

  

さて、ところ変わって、ネット上での火垂るの墓の反応を見ていきたい。

ジブリ作品は世界各国で上映、blu-ray、 DVDの販売がされている。アメリカではディズニーが配給元になっている。

 

映画評も多くあり、その中にも火垂るの墓の映画評もある。

その中から毎日映画というYoutubeで日本のアニメや映画を紹介する二人の映画評を見てみよう。

 

彼らは映画を見た感想を「とても心乱されている」と語り、火垂るの墓を「Bad movieで、Good movie, Great Movie」だと評している。また「美しいストーリーでオススメだ」と語り、また日本語で「悲しい」「悲しかった」と言っている。

 


10/09/07 - Grave of the Fireflies (火垂るの墓)

 

 

アニメ以外にも北野武氏などの映画評を行なっているが、他の映画評が数千の再生回数に対してこちらの動画の再生回数は15万を超えている所を見ると、火垂るの墓の注目度が高いことが伺える。日本からのアクセスも多いかもしれない。

 

こちらは火垂るの墓を見終わった後の号泣する少女の様子だ。


Crying out loud

 

 

また海外の日本に対する様々な反応を翻訳しているブログ「世界はこれに恋してる」から映画評を引用させてもらおう。

 

【ブログ】世界はこれに恋してる

アメリカ人『火垂るの墓』を見る。海外反応「戦争に対する態度をまったく変えてしまう映画」

http://blog.livedoor.jp/world_loves_us/archives/40625046.html

 

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★★★★★★★★★★「戦争の本当の犠牲を教えてくれる、美しくて忘れがたい傑作」 Earely (アメリカ)

 

昨日火垂るの墓を見ようと決めた。私の友達は物凄く感動的で悲しいと言っていた。最初はためらったけれど、「わかった、見てみる」と答えた。映画の最後では、目から涙が溢れた。今まで見た中で最高のアニメ映画だ。戦争の被害者となった孤児の運命を感動的に描いている。

 

この映画は一般的なアニメ映画ではない。ピクサーやディズニーの映画はハッピーエンドだ。そういう映画が悪いと言いたいのではない。もちろん素晴らしい作品たちだ。でも火垂るの墓は真実を伝えている。視聴者を楽しませようとはしていない。戦争が本当はどのようなものなのかを伝えようとしている。思わず涙を流してしまうようなたくさんの場面があった。

 

この映画が受けるべきたくさんの賞を受けなかったことは納得がいかない。これについてはまったくもって過小評価されているし、顧みられていない。きちんと尊重され、評価されていたとしたら、この映画は我々の歴史に残っただろう。この映画がオスカー賞の最優秀アニメ映画を受賞するべきだと確信している。スタジオジブリの発表した作品の中で一番だ。

 

ハンカチを用意するよう真剣にお勧めする。泣く機会があるから。

 

万人に見るようお勧めする、感動的な大作アニメ映画。

 

文句なしの10点。

 

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★★★★★★★★★★「二度と見たくないだろう最高の映画」 Nogami (カナダ)

 

2年前、火垂るの墓をシアトルの映画館の大きなスクリーンで見る機会があった。まさにその映画祭のために遠出した甲斐があった。映画の最後には、場内は静かに、完璧に静まり返っていた - そして、エンドクレジットが終わり館内の照明がつくまで、たまにすすり泣きが聞こえるだけだった。なにか言葉を発してその静寂を冒涜することは無礼なように思えた。

 

戦争に対する態度をまったく変えてしまう映画 - 本当に苦しんだ人を描いており、苦しみの内に失われたものについて真剣に考えると、名誉や栄光などは底の浅い見返りだと気づかされる。

 

以前友だちに、もしこの映画で心を動かされない人がいたとしたら、その人には魂がないと言った。この映画を見るには、電話の電源を切り、照明を落とし、誰か愛する人と一緒にこの映画に没頭する - 見終わる頃には良い人間になっているだろう。

 

この映画にはたくさんのレビューがついているが、ほとんどはおそらく僕のよりもっと包括的だろう - 僕の結論だと、この映画は万人が人生のどこかで見るべきだ(広島や長崎の平和記念館を万人が見るべきであるように)。

 

戦争や争いをニュースや新聞で見たら、この映画のことを思い出して - 視野が広がり、更に目が見開かれるだろう。

 

この映画は4回くらいしか見ていない - 見た後「気を取り直す」のに1年かそこらはかかる。何度も見過ぎると印象が弱まるし、それはこの映画に対して最悪のことだ。

 

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火垂るの墓には日本を攻撃したアメリカ兵は全く出てこない。

攻撃の象徴としてのB29だけである。誰が敵で、誰が味方で、ということを描かなかったからこそ、世界中で共感が得られるのではないだろうか。

 

では二人の兄弟はなぜ死んだのか?自分は戦争が起こったからだと考える。

 

戦争を引き起こす、イデオロギーや国家の対立、権益の奪い合い、領土問題。

節子はそのようなものに加担していたのだろうか?そのようなものに責任を負うべきだろうか?

 

彼女は全くそのようなものに関わって居なかったが、そのようなものに巻き込まれて死んだ。

 

戦争や紛争が起これば、必ず清田や節子のような少年少女がうまれる。

二人のような犠牲者を出さないためには戦争を回避する以外に方法は無く、それは現在も未来も同じであろう。 

 

映画には様々な見方が出来、どのような解釈をするのも自由だ。

自分は火垂るの墓を「戦争によって二人の少年少女が死んだ悲しい映画」と捉えようと思う。そこには時代や国籍などは関係ないと思う。

 

そして、では、二人のような子供達を生み出さないためは、今後どのように戦争を回避するかということを真剣に考え続けなければいけないと思う。

 

 

 

「お前らは大企業の広告しか作らないんだろ」とカンヌで言ったグリーンエージェンシーについて

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今回は欧米でNGOやNPOや一般企業のCSR活動の支援を行うグリーンエージェンシーについて書きたいと思う。

 

昨年の7月に友人と渋谷で飲んだ。

友人はCMの監督をやっていて、カンヌの広告祭から帰って来たところだった。

一緒に飲んだ友人の仕事仲間にカンヌでグリーンエージェンシーの人たちに「どうせお前らは大企業の広告しか作らないんだろ」と言われたと聞いた。

 

自分も知らなかったのだが、欧米にはグリーンエージェンシーという広告代理店があり、NGOやNPOや一般企業のCSR活動の支援を行っているらしい。

 

確かに海外のNGOやNPOや一般企業のCSRの広告は良くできている。

ここ数年広告業界ではソーシャルグッドという言葉が使われ、企業が社会的な貢献を果たす広告が賞を取るケースが多かった。

 

例えば、コカコーラは数年間から自動販売機が人を幸せにするというテーマで広告を作り続けている。その一つに長年対立が続いているインドとパキスタン両国に相手国側の様子が見える自動販売機を置き、それぞれに与えられた「手を合わせる」「ピースマークや笑顔を描く」「踊る」というミッションを行うとコカコーラが貰えるというような内容。笑顔を見ていると他国の事でも少し嬉しくなる。


Coca-Cola Small World Machines - Bringing India & Pakistan Together

 

 

今年はチリのユニセフがスマホを使ったネットいじめについての広告が受賞したようだ。

ネットいじめ「たった1回の撮影が自殺に追い込む」 ユニセフのポスターは語りかける (The Huffington Post

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気になる方は「ソーシャルグッド カンヌ」「ソーシャルグッド 事例」などで検索すると色々出てくるので是非。

 

少し「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」について説明しておくと、毎年6月末フランスのカンヌで行われ、世界3大広告賞の中でも一番の注目を集め、世界中から約1万人以上の広告関係者が集まる。

 

2013年、Perfumeがプロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスを行ったことから、広告関係ではなくても知っている人は多いだろう。今年はマツコロイドが賞を獲ったらしい。

 


【HD】Perfume Performance Cannes Lions International Festival of Creativity

 

 

 

話をグリーンエージェンシーに戻すが、これらのソーシャルグッドな広告を全てグリーンエージェンシーが創っているわけではなく、ほとんどは普通の広告代理店が創っている。

 

ただ、欧米にはNGO、NPOを支援するグリーンエージェンシーがあり、NGO、NPOも広告表現やクリエイティブを重要視し、自分たちの活動を広め、世界を変えようとしている。

 

 宣伝・広報戦略に優れたNGOの事例としてイギリスの反戦団体の「Stop the war coalition」のアフガニスタン戦争を批判する動画を紹介しよう。

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広告賞は受賞していないが、Information is Beautiful Awardsというインフォグラフィックを表彰するアワードで賞を受賞している。

 

音楽はブライアン・イーノ(Windows95の起動音を創った人で、U2などのプロデューサー)が2010年に老舗テクノレーベルWarpからリリースしたものだ。

 


What is the true cost of the Afghanistan war? Narrated by Tony Benn. Music by Brian Eno.

 

ビデオから読み取れる2010年時点でアフガニスタン戦争の現状は次の通り。

  • 戦費は上昇をし続け、2004と比べ2009年と2010年合わせると100倍に
  • 10万人の看護師と15万人のケアワーカーの費用が掛かっている
  • アフガニスタン市民の犠牲者は4万人
  • そのうちNATO軍を中心した国際治安支援部隊(ISFA)による犠牲者は25%
  • 世界の30%の難民がアフガニスタンの難民
  • 74%のイギリス国民がアフガニスタン戦をすぐに終わらせたいと考えている 

淡々としたナレーションに音楽が絡み、インフォグラフィックが非常にアジテーショナルに物語り、見るものに深く訴えかける。

 

Stop the war coalitionのサイトの過去半年のアクセス状況を見たが、多い月には40万人のアクセスがあるようだ。(similar web

NGOのサイトとしてはかなりのアクセス数かと思われる。

 

 

では日本ではどうであろうか?

デザイン、ソーシャルメディア、Youtube、人々に訴えかける手段は今ではいくらでもあるが、うまく活用できている団体は多くないようだ。

 

先日代々木公園をジョギングしていたら、何やら騒がしい。5月1日だったのでメーデーかと気付くが、様々な場所で拡声器を持った人たちが大音量で様々なことを主張している。またガリ版で作ったと思われるチラシもいっぱいもらった。主張の内容には共感出来ることもある。ただ、その表現方法に大きな問題があると思った。

 

彼らのやり方は50年間ほぼ変わっていない。

「闘争」「団結」「粉砕」など現在では一般的に使われていない言葉を大声で叫び、ゼッケンにノボリにシュプレヒコール。様々な場所で無計画に行われるアジテーションにメーデー会場はカオスかと思った。仮に無関係の普通の感覚の人が遭遇したら異様なものに写り、逆に拒絶反応を示す人も多いだろう。それでは全くの逆効果であり、ただの自己満足で、世の中を全く動かせないことになる。

 

多くの人は楽しいもの、かっこいいもの、かわいいもの、きれいなものが好きだ。

それはロックミュージシャンかもしれないし、DJやラッパー、アイドルかもしれない。映画かもしれないし、アニメかもしれないし、お笑いかもしれないし、ロックフェスかもしれないし、企業が創るソーシャルグッドなキャンペーンのアイデアかもしれない。

 

コカコーラに学べとは言わないが、人に伝える為、人に理解され、注目を集め、世の中を変えるインパクトを持つ為にどうのようにすれば良いか考えるべきかと思った。

 

 

ただ、最近よく報道に出てくるSEALDsという学生の団体はデザイン、ソーシャルメディア戦略などに力を入れている。

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ウェブサイトを見たらfacebookのいいねが14,000、ツイートが16,400あった。サイトも良くできている。アクセスも急増しているようで、6月は5万アクセスを超えているようだ(similar web)。

 

彼らのような若者が社会を変えるようなインパクトを持つことを期待する。

 

 

米同性婚成立は1日にしてならず − 同性婚を後押した政治と文化の10の出来事 −

 

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先週の土曜日、朝起きてスマホでfacebookを見ていたら友人のアイコンが虹色になっていた。

タイムラインで流れてきたニュースを見ると、どうやらアメリカの最高裁で同性婚が合法となり、それを支援していたfacebookがアイコンを虹色にするアプリを配布したらしい。

 

アメリカのハフィントンポストやmashable、TEDなどのネットメディアのアイコンも虹色になり、マークザッカーバーグやfacebook、ホワイトハウスのアイコンも虹色になっていた。

 

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オバマ大統領、マドンナやデカプリオを始め様々なセレブが同性婚合憲を支持し、各所で合憲を祝うパレードが行われ、アメリカはお祭りムードだったようだ。

facebook上では2600万人がアイコンをレインボーに変え、合憲を支持した。

 

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最高裁が合憲と認める前、アメリカの50州のうち、37の州と首都ワシントンが合憲と認めていたが、13の州は認めていなかったという。では同性婚がどのような道を辿って合憲になったのか、過去10年の同性婚を後押しした10の出来事で振り返ってみたい。

 

 

■ 2005年

✔︎エルトン・ジョンがイギリスで同性婚

エルトン・ジョンが同性婚のするセレブの先駆けとなった。

2005年当時はイギリスでのシビル・パートナーシップ法という事実上の同性婚であったが、2014年にイギリスで同性の結婚が合法化されたのちに正式に入籍している。

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■ 2006年

✔︎ブロークバックマウンテンがアカデミー賞受賞

“マッチョな”アメリカの象徴であるカウボーイがゲイというストーリーの「ブロークバックマウンテン」がアカデミー賞で同年作品中最多の8部門にノミネートされ、監督賞、脚色賞、作曲賞の3部門受賞。

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アン・リー監督は「普遍的なラブストーリー」と言っていることはオバマがfacebookに書き込んだ「Love just won」に繋がっているように見える。

 

 

■ 2009年

✔︎オバマ、アメリカ合衆国大統領に。

オバマは2012年の大統領選時に同性婚を支持した。

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オバマはネットやソーシャルメディアを味方につけて当選したと言われているが、その立役者は20代前半の若者であった。ザッカーバーグと同じくfacebookの共同創設者の一人であり、my.barackobama.comというソーシャルメディアキャンペーンを率いたクリス・ヒューズ氏である。オバマが彼のことを”My Internet Man”と評したことはアメリカでは有名な話だ。

 

ヒューズ氏は2010年に同性と婚約をしている。ただ、当時は彼らの住むニューヨーク州は同性婚を認めていなかったために結婚式は行わなかった。婚約相手は「Freedom To Marry」という同性婚の合法化を訴えるサイトの監修をしているショーン・エルドリッジ氏。

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ヒューズ氏は「ソーシャルキャンペーンを駆使して1、2年後には結婚したい(ニューヨーク州での同性婚を合法化したい)」と語っていた。実際、翌2011年にニューヨーク州の同性婚合憲を勝ち取り、今回アメリカ全州を合憲としたことは見事、としか言いようがない。

 

ザッカーバーグほどの知名度は無いが、facebookの創設者であり、20代前半でアメリカ大統領選のウェブキャンペーンを牽引、その後同性婚を支持するオバマを大統領にし、自身の信念を達成させる。こんな華麗な人生はあるものなのだろうか。

2012年にクリス氏とショーン氏は結婚した。

 

 

✔︎レディ・ガガ、MTV Video Music Awardsで「神とゲイに感謝するわ」と受賞スピーチ

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2000年代の最大のポップアイコンであるレディ・ガガは自身の初期の成功はLGBTのグループの支持があったとし、彼ら彼女らへの支持を表明している。

 

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2010年にはアメリカ軍の同性愛者雇用を容認しない「Don't Ask, Don't Tell(訊かず、言わざる)」のポリシーを撤廃するための演説を行っている。アメリカ軍は同性愛を禁止していて、実際1.2万人が同性愛を理由に解雇されている。「訊かず、言わざる」とは黙っていれば、軍に置いといてやるという意味である。レディ・ガガは同性愛を嫌う軍人こそ家に帰る(解雇される)べきと訴えた。

2011年には同性愛者支援の功績でシドニーから名誉市民の称号を贈られている。

 

80年代—90年代のポップアイコンであったマドンナもLGBTの支持を表明し続けている。彼女が世界に広めたのはヨガやマクロビオティックだけではない。

彼女が世界に広めたHOUSEミュージックは黒人のゲイが生み出した音楽であり、ヴォーギング(Vogueing)というダンススタイルは黒人やラテン系のゲイが雑誌の「VOGUE」のモデルのポージングを真似て作り出したものである。

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 ■2010年

✔︎ 映画SEX & THE CITY 2 公開

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当初から恋愛の多様性を描いてきたSEX & THE CITYの映画第二弾の冒頭17分はスタンフォードとアンソニーに同性婚の結婚式から始まる。大変豪華でロマンチックな結婚式シーンなので、まだの方は1度見ることをオススメする。

 

映画の中で45州はまだ同性婚が合憲ではないという話が出て来るので、公開された2010年から5年で大きな変化があったと言える。

また、ミランダ役のシンシア・ニクソンはプライベートで2012年に同性と結婚している。

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■2011年

✔︎アメリカで同性愛者の軍務を禁止した同性愛者の軍務禁止法の廃止

元々アメリカ軍はホモフォビアと言われる「同性愛や同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見、または宗教的教義などに基づいて否定的な価値観」を持つ人間が多かった。同性愛者の入隊は禁じられ、同性愛者と分かると除隊しなければならなかったが、オバマ大統領が公約に基づき、この法律を撤廃した。

レディ・ガガの強い訴えも廃案への後押をしたのかもしれない。

 

 

 ■2014年

✔︎APPLE CEOティム・クック氏 ゲイをカミングアウト

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スティーブ・ジョブス氏の後、APPLEのCEOに就任したティム・クック氏はブルームバーグ誌でカミングアウトした。理由は自身がゲイであることを明かすことで同じ立場の人々を励ますため。クック氏は自分がゲイであることを公表した最初のフォーチュン500社のCEOだという。

 

 

■2015年

✔サム・スミス グラミー賞に輝く

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自身をゲイとカミングアウトしているサム・スミスが︎グラミー賞に輝く。

Record of the Yearに輝いた「Stay with Me」は一晩の関係を持った相手に「去らないで」と訴える曲だが、LGBTであってもストレートであっても心に響くのは、彼が「普遍的な愛」を表現しているからだろう。

 


Sam Smith - Stay With Me

 

 

 

✔︎オレゴン州でアメリカ初のバイセクシャルの州知事が生まれる

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︎オレゴン州の州知事にバイセクシャルを公表しているケイト・ブラウンさんが知事に就任した。オレゴン州は、元々ポートランド市長がゲイ、また州下院議長がレズビアンだとすでに公言。多様性に対して寛容な地域である。

 

オレゴン州の中心地であるポートランドは、自由と平等な気風やオーガニックフードや地産地消などの持続可能な生活を求める文化が注目を集め、全米で一番住みたい都市にも選ばれている。

またポートランドはOECD(経済協力開発機構)でもメルボルン、バンクーバー、パリ、日本の富山とともにコンパクトシティのモデルケースに選ばれるなど、様々な方面から注目を集めている。

 

何故ポートランドがこのような文化があり、経済的にも注目されるのだろうか。

その理由は佐久間 裕美子さんの「ヒップな生活革命」に詳しく書かれている。今後のビジネスや文化のトレンドを読む上でも非常に参考になる本なので、興味を持った人には是非読んでほしい。

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■ソーシャルメディアの影響

今回の同性婚合憲を大きく後押ししたものの一つにfacebookをはじめとするソーシャルネットワークの存在があるであろう。

 

ソーシャルメディアは意思のあるものを結びつける。暴動やデモやパレードの規模を大きくし、時には革命を起こす。少数派と言われているグループから大統領を生み出す。1人では声は小さいが繋がれば声は大きくなる。

 

ザッカーバーグが2008年と2015年のfacebook上のLGBT関連のグループ数をシェアしていたが、7年間でかなりの数が増えている。この投稿には現在28万のいいねと1万以上のコメントが付いている。

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今、世界はすごいスピードで変化している。残念ながら良い方向だけに変化しているとは思えないが、人々が繋がることで生まれるエネルギーによって、不平等や偏見、差別、格差、そういうものがどんどん小さくなり、フラット(平等)な世界に近づく流れは止まらないだろう。

 

 

 

全てがネットに繋がるIOTって何?  

 

最近IOT(Internet Of Things)という言葉を頻繁に目にするようになった。

昨年も言われたらしいが、今年はIOT元年らしい。

 

IOT(Internet Of Things)はモノのインターネット化というもので、家電や自動車など身の回りのあらゆる物がインターネットに繋がることを言う。

 

HuluなどネットTVを見る人は、家のTVをネットにつないでいると思うが、正にその状態である。日本ではTVをネットにつないで見る人は多くないが、アメリカでは5000万世帯以上がネットTVのNETFLIXと契約している。

 

ではIOTが当たり前になった世界とはどんな世界だろうか? 

まず全てのリモコンがスマホ1台で完結するだろう。

 

TVもエアコンもお風呂も自動車もスマホでコントロール出来るし、自分がコントロールしなくても加速度センサー、GPSなどの位置情報を読み取る。

 

例えば、帰宅中に勝手にエアコンがつき、お風呂が沸き、お米が炊ける。もちろん、家を出たら照明もエアコンも自動にOFFになる。冷蔵庫に入っている食材の賞味期限をスマホで確認し、冷蔵庫の中に入っているもので出来るオススメの料理をCookpadがレコメンドしてくれる。

 

正にSFで描かれていた世界である。

では実際はどこまで進んでいるのであろうか?現在進行形の事例を見て行こう。

 

  • Google Android Auto

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Googleは自動車をIOT化する為に自動車向けのAndroid、Android Auto発表。

Open Automotive Alliance(OAA)という団体を作り、自動車業界の43のメーカー・ブランドが参加。国内では日産、マツダ、三菱自動車、スズキ、スバル、パイオニア、アルピオン、クラリオン、パナソニック等が参加。

 

今はまだスマホ画面を車載システムに映し出す程度だが、今後はクルマ専用向けのアプリが開発されていくという。走行状況、路面状況、周辺情報、天気など、自動車に関するあらゆる情報を使用したアプリになるだろう。

 

エンジンを掛けるとMAP上で目的地までの美味しいお店を「食べログ」で探しレコメンドし、ガソリンが安いスタンドを教えてくれ、天気予報や渋滞予測を元に、効率的なルートや、帰るのに一番混まない時間も教えてくれる。音楽は自分の好みや天気、気分、走行するルート(市街地or海沿いor山)にマッチしたものを自動選曲してくれる。

 

なおアメリカでは、通勤で自動車を使う人が多いので、EメールやTwitterを読み上げたり、口頭で入力、送信できるナビがAndroid Auto発表される数年前から実用化されている。自動車での移動が長いのでそういうニーズがあるのであろう。

 

なおGoogleは自動車の自動運転技術も開発しているので、5年後のトヨタの敵はGoogleとも言われている。確かにトヨタはOpen Automotive Alliance(OAA)には参加していない。

 

Open Automotive Alliance(OAA)参加企業

http://www.openautoalliance.net/#members

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  • PHILIPS hue(ヒュー)

http://www2.meethue.com/ja-JP

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PHILIPSのhueは専用のスマホアプリで自在に光の色を変化させられるLEDライト。

色を変化させられるLEDライト自体は全く珍しく無いが、hueの優れている所はスマホ内の写真の色を再現出来る所。青空なのか緑の木々なのか、タップする画像の色によって光が変化する。細かい色のグラデーションも表現してくれる。新婚旅行で行った南の島の夕焼けを照明の色にしたらとてもロマンチックではないだろうか。

 

 

  • 筋電義手 Handiii

http://exiii.jp/handiii.html

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この義手は筋電位という神経を通る微弱な電気信号を読み取り義手を動かすというもの。腕を失った人でも指や腕をこう動かしたいと思うと筋電位は腕のある所までは届いている。

 

腕に付けたセンサーから読み取った筋電位をスマホに送り、スマホから義手にどのように動かすかという信号を送り動かす。筋電位をスマホから義手に送る信号に変換させるには複雑な演算を必要とするが、誰でも持っている小さなコンピュータであるスマホに行わせる。

 

義手の中にコンピュータを内蔵しなかったので、軽量化に成功。重さは実際の腕と同じ位だという。

一番の成果は低コスト化で今まで1体100万円以上掛かっていた筋電義手が数万円の材料費で出来てしまうという。

コストカットは3Dプリンタの駆使と演算機器をスマホにしたことで成し遂げた。

このようなデザインになっているのは、マイナスなイメージを持たれがちな義手がもっと、ファションのような気軽に使える世の中になって欲しいという製作者の思いからとのこと。

 

 

  • RING

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http://logbar.jp/ring/ja/

RINGは指のジェスチャーによって、照明の点灯、音楽を再生、タクシーを呼んだり、スマホの写真をソーシャルメディア投稿出来たりする。まさに全てのリモコンである。

 

 

 

  • Cerevo XON SNOW-1(スノーボード)

https://xon.cerevo.com/ja/

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スマホにBluetoothで加速度、両足の荷重バランス、重心、ノーズとテールのたわみなどの計測データをリアルタイムにスマートフォン上のアプリで確認可。アプリで自分のライディングを振り返ることで、効果的な練習が可能。

 

  

  • BABOLAT PLAY(テニスラケット)

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http://gadget.itmedia.co.jp/gg/articles/1205/29/news074.html

BABOLAT PLAYは持ち手に付いたセンサーが、様々なプレイデータをスマホに転送し、試合や練習のデータを記録出来るテニスラケット。ストロークやボールのスピン、ボールがフェイスに当たった位置、パワー、サーブのスピードなどの情報を収集し練習に活かせる。

 

 

  • nest

https://nest.com/

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nestは家庭内のエアコンなどで室内の温度を管理するサーモスタットである。

2014年にnestをGoogleが買収32億ドル(約3,840億円)で買収した。

 

日本では想像しづらいが、アメリカの約9割の世帯はサーモスタットを利用している。地域によってはマイナス20度になったり、50度を超したりするので、需要があるのであろう。しかし旧型だと、一日中同じ室温に保ってくれるだけなので、電気代が高くなりがちだ。nestは人がいる時間、いる部屋だけをセンサーと人工知能によって判別。

 

249ドルのnestは電気代は約20%削減出来るというので1年もあれば元は取れる。更にnestはただの家庭内の温度管理機能だけではなく、照明や洗濯機やネットサービスなどとも連動させられることが可能。つまり家をIOT化させるハブになる将来性の高い商品である。

ちなみにnestで出来ることは下記の通り。

  • 電気代が安い時間に洗濯機を回す
  • 火事の時は部屋の照明を赤くして伝える
  • 煙を検知したら、近所の人にSMSで知らせる。
  • スマホで温度設定可能。しかも口頭で伝えるだけ
  • クルマが家に近づくと温度調節を自動開始

http://www.gizmodo.jp/2014/06/nest8.html

 

 

  • Google Glass

http://www.gizmodo.jp/2015/02/post_16509.html

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未来のデバイスの象徴として颯爽と登場し、世界のITオタクを熱狂させたGoogle Glassだが、今では一般向け販売を終了し、GoogleのCFOも失敗を認めている。(最近一般発売を復活させるというアナウンスもされていたが)これは何でもネット化すれば良い訳ではなく、暮らしを本当に便利にするアイデアが必要だったという教訓なのかもしれない。

 

 

 

 

Googleとは何者か? 彼らを知るための40のコト

 

今回はGoogleについて書きたいと思う。

彼らの活動が膨大な為に、パワーポイントに詳細をまとめた。

この記事では軽く概要を書くので、もし興味があれば時間がある時にでも是非パワーポイントを見て欲しい。

 

1998年創業のGoogleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセス出来て使えるようにすること」をミッションステートメントとし、非公式ながら「Dont be evil(邪悪になるな)」というスローガンも持っている。

 

既に彼らの売上は2013年に7兆円を越え、時価総額はトヨタもMicrosoftも超える巨大なメディア企業である。その収益の9割は広告が支える。

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◼️メディアとしてのGoogle

国内の検索シェアではYahoo!に負けるが、海外では圧倒的なシェアを持っていて、ヨーロッパだと、なんと9割を超える。

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検索結果に広告を出し、収益を出す。検索は購入の直前なので、検索広告は購買に結びやすく収益が出しやすい。また日々、検索結果を良くする為にスパムを排除する努力を行っている。

 

スマホでの検索シェア確保の為、スマホ検索のCMをオンエア。これは国内はPCで大きなシェアをYahoo!に奪われてしまった為に、スマホではシェアを奪うという狙いかと思われる。

 

なお参考だが、Twitterは検索に引っかけないことで、収益を上げた唯一の会社である。(※詳細はパワポ資料を見て欲しい)

 

Andorid OSを携帯メーカーにタダで配布し、検索シェアを伸ばし、ChromeBookではPCのOSにも進出している。OSを抑えてしまえば、検索はデフォルトでGoogleになり、検索シェアをさらに伸ばす。

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検索だけではなく、GDN(Google Display Network)というバナー広告やYoutube

などメディアも運営し、Youtubeのユーザー国内利用者は2000万人以上と発表している。不法アップロード対策としては、YouTubeの広告収益をミュージシャンのレベニューシェアすることで、勝手にユーザーがアップしたPVなどからもミュージシャンは収益を得ることができるようになった。

 

またYouTuberというYoutube上で動画を配信し、稼ぎ生活する人も出てきている。海外の上位のYouTuberの年収は数億円以上と言われている。

 

ただ、ソーシャルメディア「Google+」やGoogleTVも成功とは言い難く、全てがうまくいっている訳ではない。

 

 

 ◼️メディア以外のGoogleの事業

Googleは検索、メディア事業に軸足を置きつつも、そこで得た莫大な収益を様々なテクノロジー分野に投資している。

 

 Google glass や血糖値を図れるコンタクトレンズなどIot(internet of things)にも進出。また音声検索を使った人口知能開発競争ではAppleのSiriと張り合っている。

 

また自動運転自動車も開発し、Googleのandroidを搭載したクルマも各自動車メーカーと連合を組み開発中だ。

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ベンチャー企業買収にも力を入れ、アルゴリズムからロボットベンチャーまで買収している。また宇宙開発には膨大になる開発リスクを取らないコンテストという形で投資している。

  

  ◼️3.11時の対応

Googleの2011年の震災の際の対応は素晴らしかった。

 

Crisis Responseという災害に関する情報や被害状況をリアルタイムにアップするサイトを立ち上げた。Hondaとpioneerの震災後のカーナビの通行情報を元に、自動車・通行実績情報マップ3/14からスタート。震災後にクルマが通れていれば、その道は使えるということだ。

 これにより現地に被災者の家族や親戚、支援者や物資を届けることが出来た。

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その他には、 

✔︎ NHKと協力しNHKの安否情報を検索、自分でも登録出来るperson finder

✔︎ 計画停電情報

✔︎ 写真を携帯メールで送るだけでアップできる、避難所名簿共有サービス

✔︎ Youtubeを活用した消息情報チャンネル

 

 ◼️各国政府とGoogle

2012年ウェブでの著作権保護を行い、既存メディアの権利保護を行う新著作権保護法案の「SOPA」をアメリカ政府は支持しなかった。米政府はコンテンツ産業や報道機関の保護ではなく、IT企業の発展を選んだと見ることが出来る。

 

またGoogleは他の米IT大手同様にNSA(米国国家安全保障局)に協力かしたという疑惑も持たれている。仮に協力があった場合、彼らの掲げる「Dont be evil(邪悪になるな)」が全うされているかどうかは気になる所である。

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そして検索市場の9割を占めるヨーロッパEU各国はGoogleを規制し、とうとう、独占禁止法でGoogleに警告をした。

 

大きくなればなるほど、権力が集中し、それを阻止しようとする力が働く。

Google会長のエリック・シュミットは自著「第五の権力」において2025年に70億人がネットに繋がり、「ネット」が、「立法」「司法」「行政」「報道機関」に続く、第五の権力になると書いている。

 

上記記事の詳細をパワーポイントにまとめている。 

気になる記事があれば、是非パワーポイントを見てもらえると嬉しい。

  • 企業としてのGoogle
  • メディアとしてのGoogle
  • メディア以外のGoogleの事業
  • 3.11時の対応
  • 各国政府とGoogle

 

 

 

最近よく聞く、ビッグデータって結局何が出来るの?

 

 

最近メディアやビジネスシーンでビッグデータという言葉を聞く機会が多くなった。

なぜ今ビッグデータは注目されるのか?今回は注目を集める背景とビジネスを中心とした成功事例を見ていこう。

 

 

⬛ビッグデータが注目される背景

アメリカの調査機関IDCによると、国際的なデジタルデータの量は飛躍的に増大しており、2010年の約1ゼタバイト(1.8兆ギガバイト)から2020年には40倍の約40ゼタバイトに達すると予想されている。数字が大きすぎてよく分からないが、爆発的に増えているようだ。

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増加の理由はもちろんインターネットの存在である。今後スマホに加え、GoogleグラスやAppleウォッチなど、身の回りの多くのものがネットに繋がるので、今後もデータの増加は止まらないだろう。

 

膨大なデータが存在し、そのデータを解析することにより、様々なことが予測出来たり、効率化出来る。それがビッグデータである。

 

詳しく知りたい人は総務省のページを。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc131110.html

 

 

⬛ビッグデータで出来る事:選挙結果や犯罪発生地域を正確に当て、エミー賞を獲る!

では次に、ビッグデータで実際出来ることを見ていこう。

 

✔︎ネイト・シルバー

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まず最初に紹介したいのが、ビッグデータを解析し、データの中から意味を見出すデータサイエンティストの第一人者のネイト・シルバー氏。

 

NYタイムズの記者時代、2008年の大統領選挙では、50州中49の州で2012選挙結果を予測し、2012年の大統領選挙においては、全米50州における投票結果を完璧に予測。

一部の政治の専門家は 投票結果の半分も当てられなかった中である。

 

彼の偉業でビッグデータは大きく注目を集めることになった。

 

その分析手法は選挙区の人種、宗教などの人口動態、世論調査など、様々なデータを過去にさかのぼって蓄積し、確率論を用いた選挙予測モデルを開発するというもの。

 

大統領選前日にNYタイムズオンライン版の全訪問者のうち20%(選挙当日には27%)もの人が、シルバー氏のブログサイトを訪問。600万人もの人が、投票日前日にシルバー氏のサイトを訪れた。

 

2009年、31歳でタイム誌が選ぶ「世界で最も影響力がある100人」に選出。

映画「マネーボール」にはシルバー氏をモデルした役もある。

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 ✔︎Yahoo! JAPANの選挙予測

日本勢も負けていない。

Yahoo! JAPANは2013年7月の参院選の議席予測を各政党などの検索数を元に独自に予測。

約9割という高い精度で議席数を予測した。

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 ✔︎BIG DATA POLICE

カリフォルニア州サンタクルーズ市の警察はビッグデータ解析を元に巡回。逮捕率は5割アップし犯罪件数は2割低下。過去12万件の通報と犯罪記録、天候や街灯の故障箇所、バーの開店時間などのデータを掛け合わせ、その日犯罪が行われるであろう地域を予測。

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 ✔︎ネットフリックス

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ユーザー約3000万人の視聴行為に関するビッグデータ分析を基に制作されたドラマ「ハウスオブカーズ」がエミー賞3部門受賞。視聴者がいつどのような映画やドラマを検索・再生し、どの場面で停止、早送り、巻き戻しをし、最後まで観たかなどのデータを分析。データ分析により監督、俳優、物語の進行が決定された。

 

 ✔ターゲット

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アメリカのスーパーマーケットのターゲットは購買データの分析から妊娠初期の女性はマグネシウム、亜鉛のサプリや無香性の化粧水を購入する傾向があると分析し、数ヵ月後にオムツなどのクーポンを送付し売上増。本人が知る前に妊娠を予測と話題に。

 

✔パナソニック

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自動車内のツイートから「不便」などのキーワードを分析。78%が「生活・飲食」関連で、ファストフードやニンニクなど「ニオイ」が半数を占めた。空気清浄機の「nanoe」のマーケティングに採用しBtoBのビジネスに繋げた。

  

✔エスエス製薬

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Twitterから“風邪”に関する投稿を分析し、風邪が今後流行るのか分析し、自社サイト「カゼミル+」に掲載。

 

✔アマゾン

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サイト内の閲覧・販売データを商品納入メーカーに提供。 POSデータ違い個人単位で閲覧・購買履歴が全て計測されているので、購買の直前と購買以降の継続やブランドチェンジなどのカスタマージャーニーが分析可能。

 

✔︎クックパッド

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レシピの検索、閲覧データを食品メーカーなどに販売。食材の組合せや前後の検索・閲覧から実際ユーザーがどのように食材の使用・比較をしているかが分かる。

 

 

 

最後にビッグデータを活用する上での注意点だが、ネイト・シルバー氏は自身の著書で膨大な情報の大半は立たない”ノイズ”。いかに ”シグナル ”を見つけ出す理論を構築するかが重要と語っている。データはあってもそこから意味を導き出せる人材が不可欠ということであろう。

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また、ビッグデータ活用には個人情報に関する法規制や生活者の理解が大きく関わってくる。またネイト・シルバーのような天才データサイエンティストではなく、人口知能によって解析されるケースも増えている。

 

それらの話はまたの機会にさせて頂きたいと思う。

 

 

 

震災後ネットで起こった77のこと

 

 

震災から4年が経った。

 

震災直後は毎日届く恐ろしいニュースに無力感を味わい、打ちひしがれていた。

 

自分はそんな情けない状態であったが、ネットでは企業や個人がどんどん被災者や、停電で困っている人をサポートするサービスを始めていた。

 

あの時、懸命に何かを行おうとした企業や個人の方々に敬意を表してこのエントリーを書きたいと思う。

 

 

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その日は友人が自分にピッタリの女性を紹介してくれるというので、昼過ぎまではどんな子が来るのだろうとワクワクしていた。

 

そして、突然の激しい揺れ。オフィスがバキバキと音を立てた。

当時、働いていたオフィスは27Fだった。

何分経っても終わらない揺れに会社のビルが折れるのでは無いかと思い、本当に死を覚悟した。

 

揺れが収まってても、免震構造のビルは揺れ続ける。

向かいのビルが右に揺れるとこちらのビルは左に揺れる。

合計で10メートルは動いていたのではないかと思う。

 

メールも電話も繋がらない中、ネットだけが繋がった。

会社のテレビを点けると津波によって壊滅した街が映されていた。

 

数時間、会社で待機し、夜遅くになんとか電車に乗れて、家の近くまで辿り着いた。

もちろん、飲み会は無くなった。

 

その後は毎日暗いニュースが飛び込んできた。

原発は壊れ、死者と行方不明者は毎日増え続け、都心ではスーパーの棚から商品が消えた。

 

正直言って、打ちのめされて居た。自分には何もできないという無力感だけがあった。

 

今すぐにでも、被災地に駆けつけ、ボランティアを行うべきか?

迷ったが、結局一歩が踏み出せなかった。

 

そんな中、次々とネット上で、被災地や被災地だけではなくとも日々不安の中暮らす人々を支援する活動やサービスが立ち上がった。

 

そうだ、自分はこのことを記録しよう。それが自分に出来ることだ。

そう思った。

 

自分は当時も、今もインターネットに関わる仕事に就いている。

コードは書けないし、一緒にサービスを作ってくれる仲間はいないが、記録をすることなら出来る。

 

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Googleは震災後三日で、HONDA、パイオニアと組み、自動車のナビ情報を基にした震災後にクルマが通過した(つまり通過出来る) MAPをGoogleMAP上で公開した。

交通網が分断され、被災地に物資が届けられず、救援にも迎えなかったが、これにより誰でも震災地に駆けつけるルートが分かった。

 

また避難所で必要な物資や安否確認が出来るサイトを立ち上げた。

避難所で必要な物資や安否確認名簿を写真でアップロードすると、被災地以外のボランティアがテキストで入力し直し、検索することが可能になった。

 

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 NHKのネット担当は会社の許可を取らずに勝手にNHKの番組をUSTで流し始めた。

テレビが映らない環境にある人も居た。これで情報を得ることが出来た人も多いだろう。

 

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TSUTAYAはTポイントを被災地への募金として出来るようにして、ZOZO TOWNはTシャツを買うとその金額が募金できるようにした。当時話題のサービスだったグルーポンは募金をするとその倍の金額を被災地に募金するサービスを行った。ネット上の募金はすごい勢いで集まっていった。

 

各社、自身のサービスを使い、被災地を支援するサービスを矢継ぎ早に展開した。

 

 

そのようなサービスを開始したのは、企業や官公庁だけではなかった。

様々な個人や団体がネット上で様々なサービスを展開した。

 

・Twitterの#タグで被災地の情報共有をする「SAVE JAPAN」

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節電を呼びかける「ヤシマ作戦」

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東京外語大の生徒が作った「30ヶ国語対応の地震発生時緊急マニュアル」

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医師による東北地震・医師による「健康相談室mixiコミュニティ」

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 不安な日々を送る子供の為に、ACのありがとウサギを楽しくデコった作品。

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ぽぽぽぽーんを好きなだけ出来るサイト。

好きなだけ「ポポポポ〜ン」するボタン

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残念ながら、デマも広まったが、荻上チキ氏はブログでデマをまとめ、解説した。

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ネット上の多くの人が、様々な前向きな意思に触れ、元気づけられた。

もちろん、自分もその一人だ。

 

4年も経ってしまったが、3.11後1ヶ月の間にネットで起こった77の出来事を公開したいと思う。

 

あの時、懸命に何かをしようとした企業や一般の方々に敬意を表して。

 

ブログを始めるにあたって

 

 

ここ数年で随分生活が変わったと思う。

 

通販サイトで注文すれば、次の日には送料無料で届くし、家電も飲食店も事前に比較サイトで調べるので、初めての店でも外すこともなくなった。

 

ソーシャルメディアでは世界と繋がり、好きな有名人やブランドの最新情報が常に入って来る。

 

世界的スターがソーシャルメディアから産まれ、日本の中高生も、世界中に自分達の写真を拡散させたり、人気者になってCMに出たりする子達もいる。

 

アメリカではソーシャルメディアで転職をしたり、フリーランスに仕事を発注するのも当たり前になっているという。

 

新興のIT企業が毎週ように新しいサービスを開始し、どんどん生活が便利になり、ワクワクを届けてくれる。ネット企業だと思っていた会社がロボットや自動車を開発し、ロケット事業を始めNASAと組み、国際宇宙ステーションに物資を運んでしまうような会社もある。

 

ニュースは毎日更新されるアプリかタイムライン上に流れる友達がシェアしたものを効率的に読むし、定額制の映画/ドラマ配信サービスがあるので、TVは居間にある大きいディスプレイになりつつある。世界を席巻する定額制の音楽サービスも早く日本でサービスをローンチして欲しいものだ。

 

モノは所有するという考えからシェアするという考えを持つ人が増え、若者にとってルームシェアはクールなライフスタイルの一つになりつつある。フリマアプリは二年で1,000万DLを突破したらしい。海外では旅行者に自分の部屋を短期で貸すサービスが流行し、今では1日の予約数はあのお騒がせ姉妹のホテルチェーンの全部屋数より多いという。

 

 

そして、最近は想像出来なかったような暗いニュースが多い気がする。

 

様々な企業が炎上に晒され、日本を代表するような大手企業の情報は漏洩し、様々な差別的な発言が増え、友人のソーシャルアカウントは海外から乗っ取られる。

 

世界中でテロや無差別殺人が起こり、その模様はソーシャルメディアを通して瞬く前に配信される。「誰でも良かったという殺人」も随分増えた。

 

これから僕らの仕事はITとグローバル化によって、コンピュータや人件費の安い海外に奪われていくという。みんなが憧れていた大企業の人員整理のニュースは驚きではなくなった。

 

 

可能性が広がり便利になった反面、息苦しいと感じる事が多くなったし、将来に対する不安も大きくなっている。

 

良い部分も、悪い部分も、かつて自分が小さい頃想像していた未来とは随分違う。

おそらく、良い部分も悪い部分も今後、後戻りするという可能性は低い。

 

それでは、そんな時代に自分はどういう考えや態度で生きるべきか。

 

不安から目を背け、深海の貝のように、固く閉じ、やり過ごそうとするべきか?

それとも新しい文化、生活、ワークスタイルを取り入れ、前向きに変化を楽しもうとするべきか?

 

このブログはかつて存在していた未来を見直し、来たる未来を考察するブログにしたい。

そしてそんな時代を生きる自分自身への問いかけになればいい。

 

このブログを通じ、同じ指向性持った人との交流から、より今の社会を理解し、より良い生き方や、前向きな発想の転換などを見いだせたら嬉しい。

 

ひとまず、このブログに訪れ、「はじめに」を読んで頂けたことに感謝をする。