最近IOT(Internet Of Things)という言葉を頻繁に目にするようになった。
昨年も言われたらしいが、今年はIOT元年らしい。
IOT(Internet Of Things)はモノのインターネット化というもので、家電や自動車など身の回りのあらゆる物がインターネットに繋がることを言う。
HuluなどネットTVを見る人は、家のTVをネットにつないでいると思うが、正にその状態である。日本ではTVをネットにつないで見る人は多くないが、アメリカでは5000万世帯以上がネットTVのNETFLIXと契約している。
ではIOTが当たり前になった世界とはどんな世界だろうか?
まず全てのリモコンがスマホ1台で完結するだろう。
TVもエアコンもお風呂も自動車もスマホでコントロール出来るし、自分がコントロールしなくても加速度センサー、GPSなどの位置情報を読み取る。
例えば、帰宅中に勝手にエアコンがつき、お風呂が沸き、お米が炊ける。もちろん、家を出たら照明もエアコンも自動にOFFになる。冷蔵庫に入っている食材の賞味期限をスマホで確認し、冷蔵庫の中に入っているもので出来るオススメの料理をCookpadがレコメンドしてくれる。
正にSFで描かれていた世界である。
では実際はどこまで進んでいるのであろうか?現在進行形の事例を見て行こう。
- Google Android Auto
Googleは自動車をIOT化する為に自動車向けのAndroid、Android Auto発表。
Open Automotive Alliance(OAA)という団体を作り、自動車業界の43のメーカー・ブランドが参加。国内では日産、マツダ、三菱自動車、スズキ、スバル、パイオニア、アルピオン、クラリオン、パナソニック等が参加。
今はまだスマホ画面を車載システムに映し出す程度だが、今後はクルマ専用向けのアプリが開発されていくという。走行状況、路面状況、周辺情報、天気など、自動車に関するあらゆる情報を使用したアプリになるだろう。
エンジンを掛けるとMAP上で目的地までの美味しいお店を「食べログ」で探しレコメンドし、ガソリンが安いスタンドを教えてくれ、天気予報や渋滞予測を元に、効率的なルートや、帰るのに一番混まない時間も教えてくれる。音楽は自分の好みや天気、気分、走行するルート(市街地or海沿いor山)にマッチしたものを自動選曲してくれる。
なおアメリカでは、通勤で自動車を使う人が多いので、EメールやTwitterを読み上げたり、口頭で入力、送信できるナビがAndroid Auto発表される数年前から実用化されている。自動車での移動が長いのでそういうニーズがあるのであろう。
なおGoogleは自動車の自動運転技術も開発しているので、5年後のトヨタの敵はGoogleとも言われている。確かにトヨタはOpen Automotive Alliance(OAA)には参加していない。
Open Automotive Alliance(OAA)参加企業
http://www.openautoalliance.net/#members
- PHILIPS hue(ヒュー)
PHILIPSのhueは専用のスマホアプリで自在に光の色を変化させられるLEDライト。
色を変化させられるLEDライト自体は全く珍しく無いが、hueの優れている所はスマホ内の写真の色を再現出来る所。青空なのか緑の木々なのか、タップする画像の色によって光が変化する。細かい色のグラデーションも表現してくれる。新婚旅行で行った南の島の夕焼けを照明の色にしたらとてもロマンチックではないだろうか。
- 筋電義手 Handiii
この義手は筋電位という神経を通る微弱な電気信号を読み取り義手を動かすというもの。腕を失った人でも指や腕をこう動かしたいと思うと筋電位は腕のある所までは届いている。
腕に付けたセンサーから読み取った筋電位をスマホに送り、スマホから義手にどのように動かすかという信号を送り動かす。筋電位をスマホから義手に送る信号に変換させるには複雑な演算を必要とするが、誰でも持っている小さなコンピュータであるスマホに行わせる。
義手の中にコンピュータを内蔵しなかったので、軽量化に成功。重さは実際の腕と同じ位だという。
一番の成果は低コスト化で今まで1体100万円以上掛かっていた筋電義手が数万円の材料費で出来てしまうという。
コストカットは3Dプリンタの駆使と演算機器をスマホにしたことで成し遂げた。
このようなデザインになっているのは、マイナスなイメージを持たれがちな義手がもっと、ファションのような気軽に使える世の中になって欲しいという製作者の思いからとのこと。
- RING
RINGは指のジェスチャーによって、照明の点灯、音楽を再生、タクシーを呼んだり、スマホの写真をソーシャルメディア投稿出来たりする。まさに全てのリモコンである。
- Cerevo XON SNOW-1(スノーボード)
スマホにBluetoothで加速度、両足の荷重バランス、重心、ノーズとテールのたわみなどの計測データをリアルタイムにスマートフォン上のアプリで確認可。アプリで自分のライディングを振り返ることで、効果的な練習が可能。
- BABOLAT PLAY(テニスラケット)
http://gadget.itmedia.co.jp/gg/articles/1205/29/news074.html
BABOLAT PLAYは持ち手に付いたセンサーが、様々なプレイデータをスマホに転送し、試合や練習のデータを記録出来るテニスラケット。ストロークやボールのスピン、ボールがフェイスに当たった位置、パワー、サーブのスピードなどの情報を収集し練習に活かせる。
- nest
nestは家庭内のエアコンなどで室内の温度を管理するサーモスタットである。
2014年にnestをGoogleが買収32億ドル(約3,840億円)で買収した。
日本では想像しづらいが、アメリカの約9割の世帯はサーモスタットを利用している。地域によってはマイナス20度になったり、50度を超したりするので、需要があるのであろう。しかし旧型だと、一日中同じ室温に保ってくれるだけなので、電気代が高くなりがちだ。nestは人がいる時間、いる部屋だけをセンサーと人工知能によって判別。
249ドルのnestは電気代は約20%削減出来るというので1年もあれば元は取れる。更にnestはただの家庭内の温度管理機能だけではなく、照明や洗濯機やネットサービスなどとも連動させられることが可能。つまり家をIOT化させるハブになる将来性の高い商品である。
ちなみにnestで出来ることは下記の通り。
- 電気代が安い時間に洗濯機を回す
- 火事の時は部屋の照明を赤くして伝える
- 煙を検知したら、近所の人にSMSで知らせる。
- スマホで温度設定可能。しかも口頭で伝えるだけ
- クルマが家に近づくと温度調節を自動開始
http://www.gizmodo.jp/2014/06/nest8.html
- Google Glass
http://www.gizmodo.jp/2015/02/post_16509.html
未来のデバイスの象徴として颯爽と登場し、世界のITオタクを熱狂させたGoogle Glassだが、今では一般向け販売を終了し、GoogleのCFOも失敗を認めている。(最近一般発売を復活させるというアナウンスもされていたが)これは何でもネット化すれば良い訳ではなく、暮らしを本当に便利にするアイデアが必要だったという教訓なのかもしれない。